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【SolidWorks】ケースのリップ・溝(嵌合)を作る方法|分割からリップ/溝機能まで初心者向け解説

SOLIDWORKS
SolidWorksの「リップ・溝(嵌合)」機能を使って、ケースの上下をピッタリ組み合わせる方法を画像付きで解説します。シェルによる中空化から分割、リップ・溝の設定、断面確認まで初心者にも分かりやすく紹介しています。

ケースの上ふたと下ふた、ピッタリ合わせられていますか?

ケースを設計するとき、上ぶたと下ぶたをピッタリ組み合わせたい場面は多いですよね。

押し出しやカットでスケッチから段差を作る方法もありますが、寸法がずれて隙間が空いたり、逆にキツくてはまらなかったり……そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

「溝と突起、結局どれくらいのクリアランスにすればいいの?」というのは、CAD初心者が一度はつまずくポイントです。

そんなときの方法の一つが、リップ(突起)と溝(グルーブ)による嵌合構造です。SolidWorksには、この形状を自動で作成できる「リップ/溝(Lip/Groove)」という便利な機能があります。押し出し・カットで自分で作る方法と合わせて、選択肢として知っておくと設計の幅が広がります。

もずく 考え中

もずく
いつも押し出しやカットで頑張って作ってました…!

ぴよすけ
それも全然アリだよ。ただ、SolidWorksには専用の「リップ/溝」って機能もあって、条件が合えばそっちのほうがずっと早いんだ。今日はこの方法を、上下をミラー(左右対称コピー)で作るやり方で紹介するね。

ぴよすけ 解説

この記事では、

  1. 下半分の箱を作る(押し出し)
  2. 角を丸めて、シェルで中空化する
  3. ミラーで上ケースを作り、2ボディにする
  4. リップ・溝を作る

という流れを、実際の画面を使いながら解説します。今回は1つの部品の中でミラーして上下2ボディを作る方法で解説します。リップ/溝はアセンブリでも使えますが、部品を編集するひと手間があるので、この1部品ミラー方式がいちばんシンプルで迷いにくいです。

この記事で完成するモデル

SOLIDWORKSでリップ・溝を作成した角丸ケースの完成モデル
リップ/溝機能で嵌合をつけた、上下対称の角丸ケースの完成モデル

今回作るのは

  • 外形80×60×40mm(下半分20mmをミラーして上下40mm)
  • 壁厚2mm・角R4mm
  • ミラーで上下2ボディ
  • リップ・溝付き

のシンプルな角丸ケースです。この作り方を覚えておけば、電子機器ケースや3Dプリンタ用ケースなどにも応用できます。

① 新規部品を作成

SOLIDWORKSで新規部品ドキュメントを作成する画面
新規ドキュメントで「部品」を選んでスタート

まずは新規で「部品」を作成します。ここから1つの部品として設計を進めます。

今回のポイントは、1つの部品の中でマルチボディ(複数ボディ)として作業することです。 リップ/溝は2つのボディ(またはアセンブリの2部品)の合わせ目に作る機能なので、先に2ボディを用意しておくとスムーズです。

② 底面スケッチを描いて箱を作る

SOLIDWORKSで80×60mmの中心矩形を20mm押し出して箱を作る画面
80×60mmの中心矩形を、深さ20mmで押し出して下半分の箱を作成

平面(Top)に中心矩形で横80mm・縦60mmを描き、そのまま深さ20mmで押し出します。中心矩形を使うと原点を基準に左右対称になり、あとのミラーがきれいに決まります。

ここで作るのはケースの下半分(高さ20mm)です。あとでミラーして上半分を作るので、全体の半分の高さにしておくのがポイントです。

③ 角を丸める(フィレット)

SOLIDWORKSのフィレットで箱の縦の角を丸める画面
縦の4隅にR4mmのフィレットをかけて角を丸める

フィレットで縦の角をR4mmで丸めます。角を丸めておくと、ケースらしい見た目になり、3Dプリンタで出力したときも角割れしにくくなります。丸めなくても手順は同じなので、好みでOKです。

④ シェルで中空化する

SOLIDWORKSのシェルで上面を開口し、中空のトレイ状にした下ケース
上面を除去し、シェル(厚み2mm)で中空のトレイ状にする

ケース設計では中身を入れるため、中空にします。シェル機能で

  • 上面(開口したい面)を1つ選択
  • 厚み2mm

に設定します。これで、上が開いたトレイ状の下ケースになります。

もずく 困り顔

もずく
シェルって、面を選ばずに実行すると開口部ができなくて、箱が閉じたままになっちゃうこともあるよね……

ぴよすけ
そうそう、それ初心者あるある。開けたい面を1つ選んでからシェルを押す——この順番さえ忘れなければ大丈夫だぴよ。

ぴよすけ 真面目

⑤ ミラー用の基準面を作る

SOLIDWORKSでケース上端に基準面を作成する画面
下ケースの上端(高さ20mm)に、ミラーの基準となるオフセット平面を作成

下ケースの上端(高さ20mmの位置)に、オフセット平面を作成します。この面がケースの合わせ目になり、ミラーの鏡になります。

⑥ ミラーで上ケースを作る(2ボディにする)

SOLIDWORKSのミラーで下ケースを上側にコピーして2ボディにする画面
⑤の基準面を鏡にしてボディをミラー。上ケースができ、ソリッドボディが2個になる

ここが今回のキモです。ミラー(フィーチャーのミラー)を使い、⑤で作った基準面を鏡にして、下ケースのボディを上側にコピーします。

  • ミラー面/平面 … ⑤で作った基準面
  • ミラーコピーするボディ … シェルまで作った下ケースのボディ

このとき「ソリッドのマージ」のチェックは外すのがポイント。マージすると1つのボディにくっついてしまい、リップ/溝が使えなくなります。確定して「ソリッドボディ」が2個になっていれば成功です。上下がぴったり対称のケースになります。

※ リップ/溝は、アセンブリでも構成部品を編集すれば作れます。ただし部品の編集モードに入るひと手間があり少し分かりにくいので、今回のように1部品の中でミラーして2ボディにしておくと、そのまま迷わず使えます。

⑦ リップ/溝を設定する

SOLIDWORKSのリップ・溝プロパティマネージャーで溝の面とエッジを選択している画面
リップ/溝のPropertyManagerで、溝側の面と合わせ目のエッジループを選択

「挿入 > ファスニングフィーチャー > リップ/溝」を起動したら、プロパティ画面を上から順に埋めていきます。最初はどこに何を入れるか迷いやすいので、順番に見ていきましょう。

  1. ボディ/部品選択 … リップ(突起)側のボディと、溝側のボディを選びます。今回はミラーで作った上下の2つのボディです。
  2. 溝選択 … 合わせ目のを選び、続けてそのふちのエッジ(ループ)を選びます。「どの線に沿って溝を作るか」の指定です。
  3. 寸法 A・B・C … プロパティ下部の断面イラストに合わせて、次の数値を入力します。
  • A(幅):1.0mm … リップと溝の太さ
  • B(抜き勾配):3.0° … 側面の傾き(組みやすさ・抜きやすさのために少しつける)
  • C(高さ/深さ):2.0mm … リップの飛び出し量=溝の深さ

断面イラストのA・B・Cと入力欄が対応しているので、イラストを見ながら埋めると迷いません。はめ合いがきつい・緩いときは、この数値(特に幅Aと高さC)を少しずつ調整します。上ケース・下ケースそれぞれに設定すれば、両側に嵌合構造ができます。

もずく ひらめき

もずく
自分でスケッチ描いて押し出さなくても、選ぶだけで溝と突起が両方できるんですね!

ぴよすけ
そう、それがこの機能の一番のメリット。しかもクリアランスを変えれば、きつさもあとから簡単に調整できる。

ぴよすけ ドヤ顔

⑧ 完成

SOLIDWORKSでリップ・溝を作成した角丸ケースの完成モデル
確定すると、上下の合わせ目にリップと溝が自動生成される

確定すると、リップと溝が自動作成されます。自分でスケッチを何本も描いて押し出すより、はるかに簡単です。

⑨ 断面表示で噛み合いを確認

SOLIDWORKSの断面表示で上下ケースのリップと溝の噛み合いを確認した画面
断面表示にすると、リップ(突起)が溝にはまっている様子がよく分かる

最後に断面表示(正面や右側面で中央を切る)にすると、リップが溝にはまっている様子がよく分かります。今回のようにミラーで作ると上下が完全に対称になるので、クリアランスが左右で揃い、きれいに噛み合います。組み立て後のイメージも確認できるので、必ず一度チェックしておきましょう。

SOLIDWORKSの断面でリップ・溝の寸法を確認した拡大画面
合わせ目を拡大したところ。溝の幅・高さと、はめ合いのクリアランスが確認できる

リップ/溝機能のメリット・デメリット

良かった点

  • スケッチを何本も描かなくていい
  • クリアランス変更が簡単
  • ミラーで作れば上下対称になり、噛み合いが安定する
  • 上下ケースの位置決めが簡単になる
  • 3Dプリンタケースにも応用しやすい

正直、微妙だった点

  • 基本は部品(マルチボディ)向けの機能(アセンブリでも構成部品を編集すれば使えるが、ひと手間。1部品の中でミラーして2ボディにしておくと迷わない)
  • 合わせ目(パーティングライン)の選び方によっては、思った位置に溝ができないことがある
  • リップ側・溝側を逆にすると上下が入れ替わるので、確定前に必ずプレビューで確認したほうがいい

「万能ではないけど、条件が合えば圧倒的に速い」というのが正直な感想です。押し出し・カットで自作する方法と使い分けるのがおすすめです。

よくある失敗

リップ/溝が選べない

原因は、ボディが1つしかないことがほとんどです。まずミラーで上ケースを作り、2ボディにしましょう。ミラーのときに「ソリッドのマージ」を外すのを忘れると、1ボディのままで選べません。

シェルでエラーになる

面を選択していない場合や、肉厚が厚すぎる場合に発生します。

上下が逆になった

リップ側・溝側を入れ替えるだけで解決できます。

用途で使い分けよう(リップ/溝 vs ほかの方法)

ケースの嵌合は「どんなケースを作るか」で最適な方法が変わります。目安はこんな感じです。

  • 標準的な上下ケースを、位置決めよく手早く作りたい → 今回のリップ/溝が最適。ミラーで作れば上下対称で噛み合いも安定します。
  • クリアランスを何度も調整して試作したい(3Dプリンタなど)リップ/溝。数値を変えるだけで、嵌合のきつさをあとから追い込めます。
  • 溝の断面を独自の形状にしたい・特殊な嵌合にしたい → リップ/溝は標準的な断面が基本なので、手動のスイープカットのほうが自由度が高いです。
  • すでにアセンブリで組んである → アセンブリ内でも構成部品を編集すればリップ/溝を作れます。ただしひと手間なので、シンプルにしたいなら1部品の中でミラーして2ボディにする方法がおすすめです。
  • 軽い位置決めで十分 → 小さな突起(ボス)とザグリだけでも、実用上は十分なこともあります。

大きな分かれ目は、「速さ・調整のしやすさ重視ならリップ/溝、形状の自由度重視ならスイープカット」という点です。目的に合わせて使い分けてみてください。

まとめ

今回はSolidWorksで、ケースのリップ・溝をミラー方式で作る方法を紹介しました。流れをまとめると、

  1. 下半分の箱を作る(押し出し)
  2. 角を丸める(フィレット)
  3. シェルで中空化
  4. 基準面を作る
  5. ミラーで上ケースを作る(2ボディ)
  6. リップ/溝
  7. 断面確認

この流れを覚えておくと、ケース設計の基本が一通り身につきます。最初の1回だけ順番を覚えてしまえば、あとはどんなケースにも応用できるので、まずは今回と同じ簡単な箱で試してみるのがおすすめです。

もずく 喜び

もずく
ミラーだと上下がそろうから、嵌合もバッチリでした!次は自分のケースでも試してみます!

ぴよすけ
うん、まずは簡単な箱で1回通してみるのが一番の近道だよ。

ぴよすけ OK

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